ワークマンPBの代名詞となった「イージス」
ワークマンが自社で開発・生産する商品、いわゆる“プライベートブランド”のさきがけとなったのが「イージス」というシリーズです。
イージスは、「雨に強い」という絶対的な防水性能を誇る商品として、2013年に発売されました。
もともとは雨の日や寒い日など屋外の過酷な状況下で働く作業員のために開発された商品ですが、その防水・防寒性能の高さに目を付けたのがバイクユーザー(ライダー)でした。
「たったの4,900円(発売当時)で、この耐水・耐寒性、透湿性はヤバい!」、「冬のツーリングには最適!」といった評判がバイクユーザーの間で話題となり、さらに口コミやネットでの書き込みでどんどん拡がりました。
さらに、イージスの優れた耐水・耐寒性、透湿性は、ライダーばかりでなく釣りをする人やキャンプ、登山など、レジャーやアウトドアを楽しむ多くの人たちにも話題となり、一気に人気が拡がっていったのです。
そして今やイージスは、ワークマンの代名詞となっています。
突然の人気沸騰に“嬉しい誤算”の本社
ワークマンイージスの突然の人気沸騰に一番驚いたのが、ほかでもないワークマン本社でした。
ワークマンでは、イージスの売り上げが一気に伸び始め、なんと売り切れとなる店舗が続出したからです。
なぜ、イージスが急に売れ出したのか、ワークマン社内でもしばらくその理由が分からず戸惑いが拡がりました。
担当者が必死に調査した結果、イージスは工事関係者ばかりでなく一般のバイクユーザーに売れていることが分かりました。
本来、イージスは過酷な環境下で働く作業員向けにつくった商品ですので防寒性・防水性に優れ、さらに汗を外に逃がす透湿性も備えています。
しかも軽くて動きやすいといった高い機能性が、バイクユーザーの間でも評判となり、SNSなどの書き込みを通じて一挙に人気が拡がっていきました。
そのおかげで、イージス発売後1か月足らずでなんと5万着が完売するといった“嬉しい誤算”が生じたのです。
バイク以外の使途にも商品を展開中
大きな反響が拡がる中、ライダーたちからイージスの「この部分をもっとこうしてほしい」といった要望やニーズの声がワークマンに多く寄せられるようになりました。
イージスはもともとバイクユーザー用に開発したものではなかったので、ライダーたちからの具体的な要望は、商品の改良につながるとても有益なものでした。
股下立体裁断により雨天時の水の侵入を防止する機能や、袖口リストガードで手首からの風の侵入を防ぐ機能を搭載するなど、さまざまな要望を取り入れ、バイクユーザー用としてのイージスモデルが次々と改良されていきました。
また、一方でイージスはバイクユーザーだけなく釣りをする人たちも購入していることが分かってきたため、今度は釣り人専用の商品も手掛けることとなりました。
袖の部分が伸びるようにストレッチ性の素材を使用、水抜き用の穴を搭載するなど、釣り人向けの新商品「イージスオーシャン」を開発し5万着用意して販売したところ、こちらももあっという間に完売する好評ぶりとなったのです。
このように、イージス独特の優れた耐水性、耐寒性、透湿性といった強みを活かして更なる商品の開発・改良に着手していきました。